記憶がすべて飛んでいる様で、その全てを憶えているマチネ。

「ブロードウェイミュージカル キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を観劇した。過ぎた思い出ほど煌めく、なんて言うけれど、私の中でずっとあのステージが、あの日の輝きのまま、煌めいている。

遡れば、2021年あれはDUETソロ表紙号。岩本くんが
「いずれはミュージカルにも挑戦したい」と言ったのだ。本当に本当に嬉しかった。もうどうしようってくらい嬉しかった。でももう少し先なのかもしれない、とも思っていた。
それは見くびっているとかではなくて、Snow Man自体が
「グループの活動」を大切にしている時期のようにおもったからだ。でもさまざまな舞台で(見学)のところに名前があって、これはきっと遠くない、いつかなのだな。その時は絶対同じ箱にいたいな、ブロードウェイものがいいな、なんて
脳内でいろんなミュージカルを繰り広げていた。

そして、2022年。今年のSnowManは「個人活動の夏」
だと言っていた(by渡辺くん)それぞれに活躍の場を増やし
活躍の幅を広げた夏だったように思う。そんな時、
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
(以下:「キャッチミー」)
は発表された。
今だから言えるけど、少しだけフライングな朝だった(笑)
飛び起きた。声も出た。何がなんでも、絶対に
行きたい、行くんだ。そんな気持ちで、私はとても燃えていた。

そして迎えた発表の日。スカイブルーをバックに、パイロット服の岩本照くんがいて、ブルーのドレスの横山由依ちゃんと、スーツできめた吉田栄作さんもいた。あの朝は夢じゃなかった。ミュージカルも夢じゃなかった。その日の「めざましテレビ」では、ラインカーディガンをきて、フランク・シナトラの「Come Fly with Me」をバックに、インタビューを受ける姿があって、「夢じゃないんだ」と思った。ブロードウェイ版の「キャッチミー」のサントラを聴き始めた。
どの曲も良くて、ジャジーなものもあって、これを歌い踊るのかと思うと、胸がときめいたし、ダンスとか絶対かっこいいな(小並感)って心が踊った。元々ミュージカルが好きな私にとって、ミュージカル楽曲は栄養ドリンクみたいなもので
「やるぞ!」って朝とかにぶちかます。そんなぶち上げナンバーがてんこ盛りで、でもしっとりと聴かせる曲もあって
最高だった。とにかく、行ける日程全て応募した。

のだけれど。

結果は全滅だった。誰を恨むも無駄なので
とにかくドトールのケーキを貪ったのを覚えている。
宇治抹茶モンブランだったのも。大人げなく悲しかった。
正直諦めきれず、粘りに粘った。最後まで、粘るつもりだった。「行ってらっしゃい」とか「すごいね」っていうのは
もちろん本音だったけど、悲しさがずっと張り付いて
当落でこんなに落ち込むのは、後にも先にもないような気がする。(けど、オタクと言うのは気がするだけでまた、同じような経験をするのも、またオタクなのだけど)でも、本当にそれぐらい悲しかったのだ。Excelのク○野郎!という気持ちで
資料を作り、馬鹿野郎!という気持ちでモギリをし、
人間だなあと思ったその日、もう本当に本当に感謝しても仕切れない、「一緒にどうですか?」のお誘いを頂いて

私は「キャッチミー」観劇の日を無事に迎えることとなる。
(※この先若干ネタバレが含まれます)
(※そしてよくここまで読んでくださいました)

「ミュージカル………?ミュージカルだ!!!」と
岩本くん改め、フランク・アバグネイル・ジュニア
(以下:フランク)が叫び、「スポットライト!」と言うと
「僕の人生 見せてあげるよ」と「Live living Color」
を歌い出す。紫の光沢のあるベストで、華麗なるステップを踏んで、すごくすごく、美しいターンで、バク転もして
脳天がぶっ飛びそうだった。
このミュージカルが始まる前に、「観る人の心を鷲掴みにしたい」と言っていたけれど、そんなのはもう一撃だった。
父親のフランク・アバグネイル・シニアと掛け合う
「ピンストライプに釘付け」も最高だった。白シャツで
ターンがすごく綺麗、ということをずっと考えてて
ミュージカルの空間が幸せで、記憶があるのかないのか
わからないような、最高至高の幸福状態で観ていたから
幕間がくるまでこれはちゃんと記憶していられているか?
大丈夫なのか??という気持ちだった。
そして幕間、私はトイレ列に並んだけれど前にいる
吉田栄作さんのファンの母程の世代の奥様に話しかけていただきながら、プチ走馬灯を経験した。
(あ……記憶がぶっ飛んでるような気持ちだったけど
私全部を覚えてる…)と、どこかのアニメの主人公ヅラで
駆け巡るモノローグ。でも本当に夢と現実の間のような
一幕だった。
そして二幕。私も前の奥様も間に合わず、「これ入れるのかしらね、でも音も聞こえるわね、大丈夫よ」とにこやかに励まして下さって安心した。(黒服の方に案内されて席に着くとき必然的に別れてしまったけれど、あの方には感謝だ。)

いよいよ二幕。次にフランクが姿を変えるのは医者。
CA達に負けず劣らずの、お色気ナース達。
「ドクターの言いなり」を歌いながら、フランクに
次々と色仕掛け。最高。沢山のガールズアンサンブルやダンサーの方々と絡むシーンが沢山あって本当に最高。
これこそミュージカルの醍醐味!
とさえ思うシーンの幕開けだった。
そしてあれこれとあり、いよいよ登場
ブレンダ〜!!!!!!!!!!!!!!(かわいい)
メンソレータムナースのような出立の横山由依ちゃん演じるブレンダは真面目でまっすぐでピュアなナース。
声も見た目も透明感に溢れてて本当にかわいかった……
最初は靡かないブレンダも、彼の「心の核」みたいなものに触れて、どんどん2人はひかれあい
世界の七不思議
なんでしょうこの、ステージに広がる幸せと愛おしさ
レポでは「まさかのベッドシーン」と噂のこのシーンだったけど、予習していた身としては特にまさかではなかったし
反対に、こんなに美しいなんて「まさか!」ってくらいだった。「フランク、どうして私なの?私なんて普通でなんの経験もないわ……」(ニュアンス)と自信なさげなブレンダに
世界の七不思議なんてただの〇〇」と普通がどれだけ素晴らしいことなのか歌いながら語りかけるフランクの愛おしそうなことー!!!!!!!!(ここまで一息)色彩は真っ白なシーツだけで、そこにフランクとブレンダがいて、その真っ白な色味そのもののような儚くて美しいシーンで
なんかもう幸せだった。本当に幸せだった。

てかこんな顔もできるのか。という衝撃50回目ぐらいのターンにこの時は入っていて、本当に本当に本当に
ステージが似合う人、という印象を受けた。

でもね、フランクは18歳くらいなんですよ。(二幕で18歳くらいになる…と本人がラジオで言っていました)
フランクはこのまま嘘をつき続けられない、と思って
ブレンダに全てを告げるわけで。そしてとりあえずこれを持って逃げよう、となるわけだけど、ブレンダは大人の女性で
「分別」があるので、人一倍。2人が結ばれることはありません。 ってだけ聞くとなんだか寂しいミュージカルに
思えるのだけど、そもそもフランクが詐欺師になったのは
「家族がバラバラになった寂しさ」から。

そんな彼を追っていた、仕事熱心で家族を失ったカール(この役が吉田栄作さん!)がとうとう捕まえるのですが
彼を「FBI」として迎え入れる、のです。
(突然のだである構文放棄しますね)
全ての罪や、偽装から「Good Bye」したフランクは
「今 ハッピーエンディング」とどんどん自分の
"着飾るもの"を手放していきます。
白シャツ一枚の、フランク・アバグネイル・ジュニア
に戻るんです。そして最後は「いつまでも二人で」(嘘みたいな本当の話)を、カールとフランク、そしてカンパニーの皆さんで。という終わり方なんですが、なんかもう
圧巻でしたね。「主演のミュージカル、絶対観に行きたいな。でも初めてだし、やっぱり正直好きだから許せちゃうみたいなところもあるんだろうな」みたいな気持ちが
少しでもあった自分を心の中で
5000回ほど心の底から恥じました。
(失礼いたしました。本当に失礼いたしました。)

こんなにこんなに素晴らしいとは。
そしてこんなにもスポットライトが似合うなんて
一生板の上にいてほしい。あなたの居場所はここです。
そんな気持ちで溢れました。

カーテンコールでは、スパンコールのパイロット衣装でした。このミュージカルを象徴する1着だと私も思いました。
一瞬音が止まって、それを纏って少し上の階段から
降りて出てきた時は、スパンコールの効果だけではない
ただならぬオーラみたいなものを感じました。
最後の挨拶で、本人の口から聞いた
「1日でも多く、踊り続けたい」
って言葉が本当に嬉しくて、ずっと耳の奥に染み込んで
心の中に残っています。
ダブルカーテンコールでは、幕が降りる最後の最後まで
こちらに手を振っていました。その時はもう岩本くんで
かわいい動きをしていて、この人はすごいなと
なんだか普通に聞こえるかもしれませんが
とても厳かにそう感じました。そこに降り注ぐ
スタンディングオベーションが眩しくて
私もそこにいることが嬉しくて
訳がわからないほど幸せでした。

はあ、こんな感じで良いのでしょうか。
語彙力の無さ……って感じですが
私の幸せな"嘘みたいな本当の話"は
これにて終了。また思い出したら何か書くかもしれません。

ミュージカルの舞台にまた立ってほしいな。
そのときはまた、観に行きたいです。


追伸:「世界の七不思議」の歌詞を引用すれば
「君ほど素晴らしい 出会いはない」
そんな日でした。恥ずかしい。
でも気恥ずかしくてなんぼです。
それが文章のいいところじゃないかなぁ。